理想のベッドを置い続けて 150 年余り
シモンズと言えば、日本国内でもシモンズベッドとして知名度が高く、海外のベッドメーカーとしては一番知られているのではないかと思います。シモンズの歴史は 1870 年のアメリカで始まり、理想のベッドを求めて研究を続けています。日本ではシモンズ株式会社として 1964 年に設立されました。ライセンス契約の元、ベッドやマットレスを静岡県にある自社工場で生産し、アジアへも輸出しており、広く世界に知られたブランドとなっています。高級ホテルのリッツ・カールトン、ペニンシュラなどへの納入実績があり、クオリティの高さと寝心地の良さを裏付けしています。
眠りの質を左右するポケットコイルのマットレス
シモンズと言えば「ポケットコイルマットレス」です。独立したポケットコイルが敷き詰められたマットレスなので、ある 1 点に圧力がかかっても周辺のコイルには影響がありません。つまり、寝返りをしてもマットレスが体の線についてきてくれるのです。寝返りによる 1 ヶ所の動きが影響してマットが揺れたりせず、安定した寝心地を保ちます。シモンズが行った実験によると 8 時間の睡眠で平均 35 回以上動くそうです。寝心地の悪いベッドではこの動きの途中で脳の休息が妨げられ、熟睡できずに寝不足になったり肩こりになったりしてしまうのです。
夜中に目覚めることなく朝までたっぷり眠った時はなんともいえない爽やかさがありますが、質の良い睡眠にはベッドのマットレスはとても重要なファクターとなるのです。他にもこのポケットコイルを活かして製作したソフ ァもあります。となりで子どもが飛んだり跳ねたりしても衝撃を吸収するので、振動が波及することなく、ゆったりと座っていられます。
時代に則した製品造りに力を注いで
創業者のザルモン・シモンズ氏はウィスコンシン州で木製の絶縁体や木箱を作る仕事からはじめましたが1876 年にスプリングを使ったマットレスの大量生産に成功し、事業をベッドマットレスへと変更しました。ベ ッドの寝心地を求める声に反応したのでしょうか、先見の明がありますね。1900 年にはすでにポケットコイルを作り上げましたが、コストが高く高級でした。あの「タイタニック号」などの豪華客船で採用されていたそうです。
一方、一般消費者のためにはリーズナブルなスプリング式マットレスを販売していました。幅広く多くの人々に使って欲しい、という気持ちが伝わるお話です。その後は、1930年の世界的な景気後退による物価下落で広々とした部屋やマイホームをあきらめた人のために、昼はソファ、夜はベッドとして使えるソファベッドを考えたのもシモンズ。このように時代の波により臨機応変に製品を開発し、忙しい現代人の睡眠の質を高めるべく、「Better Sleep Through Science」をコンセプトとして努力を続けているところが信頼に値する理由なのだと思います。