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イタリアから到着した家具の検品を徹底し
ニコレッティ、オッジオの輸入販売の総代理店に

横浜高川家具とヘヤゴト社長対談

2020年3月某日に行なわれた、横浜高川家具・林社長とヘヤゴト代表・宮島との社長対談の様子をレポート。林社長とイタリア家具「ニコレッティ」「オッジオ」との出会い、林社長が商品に対して徹底していること、輸入販売の総代理店になるまでの苦労話、日本で人気のニコレッティ、オッジオの商品などについてお話を伺いました。

株式会社横浜高川家具 PROFILE
横浜高川家具の本社外観

大阪市に本社を置く株式会社高川家具からの独立を経て、1984年に現在の横浜高川家具に社名変更。当初は横浜や中京、静岡地区で洋家具を販売していた。1998年にイタリアのソファメーカー「ニコレッティ」の、2000年に昇降伸長式テーブルが人気の家具メーカー「オッジオイタリア」の国内販売総代理店となる。横浜市都筑区の本社に、同2社の家具を展示したショールームを併設している。

(目次)

大阪本社から独立し、横浜高川家具を創業

宮島:横浜高川家具の成り立ちをお聞かせください。創業はやはりここ横浜ですか?

横浜高川家具の林社長

林:高川家具は、もともとは全国の百貨店の卸問屋でした。大阪本社のほかに札幌、東京、横浜、岡山、広島、福岡に拠点を置いて家具の卸、たとえば飛騨・高山のシラカワさんや日進木工さんの商品を百貨店に卸すのを生業としていましたが、1984年に破綻しまして。

宮島:1984年ということは、民事再生法の制定前ですね。

林:はい。ただ、光製作所さんの融資を受けて、傘下に入るかたちでもう一度やりましょうと。その時に各拠点が独立採算制になり、そしてできたのが横浜高川家具です。 当時、横浜の百貨店といえば高島屋さんくらいしかなく、それでは到底商売が成り立たない。ところが1985年に横浜そごうがオープンして流れが変わりました。バブルの勢いもあってそごうさんが全国にお店を出されて、横浜店の家具売り場も広かった。2000年にそごうさんが民事再生法の適用を申請するまでは当社も右肩上がりでしたね。

宮島:差支えなければ最盛期の売上を伺ってもよろしいですか。

林:そごうさんだけで年間8億近くいきました。

宮島:となると、民事再生の余波は推して知るべしですね。その頃にはもう、ニコレッティやオッジオの輸入販売代理を始められていたんでしょうか。

イタリアの街マテーラの遠景ニコレッティ創業の地・マテーラの街並み。旧市街地区には世界遺産の洞窟住居がある。

林:ええ。民事再生してもそれからどうなるのか、不安でしょうがなかったですね。ニコレッティ(の販売代理)を始めたのは1998年です。それまでは別のところから買っていたんですが、そこが廃業することになり、うちが引き継いだかたちですね。百貨店への卸を始めた矢先の2000年にそごうさんが民事再生。いずれ家具売り場はフロアから消えるとささやかれる中、じゃあどうしようとなったときに、シラカワの白川勝規社長(※現・会長)に声をかけていただいて南青山にショールームを開設しました。そこは3年ほどで閉めて新宿のOZONEに移転したんですけど、今度はリーマン・ショックがやって来た。最終的に本社にショールームを移転して現在に至ります。

宮島:山あり谷ありといいますか、ご苦労の連続だったんですね。

林:父親の代の話で、私の経験なんてまだまだですけどね。色々なことがありましたが、今残っている高川の拠点は横浜と東京だけです。東京高川家具は高川さんが、百貨店の家具問屋として経営されています。

金融業界用語の基礎知識
不況のイメージ

リーマン・ショック:2008年9月、世界第4位だったアメリカの大手投資銀行リーマン・ブラザーズの倒産により、世界経済が大きな影響を受け、連鎖的に発生した金融危機。 2000年以降、アメリカでは住宅や土地の価格が高騰する住宅バブルが到来。リーマン・ブラザーズは高金利のサブプライムローン(=低所得者向けの住宅ローン)の債権を買い取り、これを含む金融商品を世界中の投資家や金融機関に販売していたが、2007年に住宅バブルが崩壊し、サブプライムローンは破綻。結果、リーマン・ブラザーズは64兆円もの負債を抱え倒産した。 同社が販売した金融商品を保有する企業や投資家が一気にこれを売却したため株価が下落、アメリカ経済に対する不安が広がり、世界規模の金融危機に発展。日本の株式市場も大暴落を起こし、大幅に景気を後退させた。

イタリア家具のニコレッティ、オッジオとの出会い

宮島:林社長が大切にされている社長としてのポリシーとは。

林社長と宮島社長の2ショット

林:お客様に喜んでいただける商売をすること。当社は過去、百貨店とのお付き合いが長く、百貨店に育ててもらったという思いがあります。そして百貨店といえば外商のお客様も多く、商品の傷だとかに対する目が本当に厳しいんですね。そういった背景もあり、当社ではニコレッティもオッジオも、イタリアから届いた家具をすべて一度開梱して検品しています。日本の家具メーカーさんも商品クレームは少ないと思いますが、海外輸入をされている他社さんと比べたら、当社の商品瑕疵に対するクレーム率はかなり低いと自負しています。 納得いくまで吟味して、安いとはいえない買物をして、ようやく届いたソファやテーブルに傷があったら、交換してもらえるとしてもやはり嫌な気持ちになりますよね。当社としてもお客様にそのような思いをさせてしまったら非常に残念ですし、(クレーム率の低さが)ある意味ブランディングにもつながっていくと思います。

宮島:当社でもニコレッティ、オッジオを販売させていただいていますが、商品クレームはほとんどありませんね。商品が大きくて搬入に苦労するという、ヨーロッパサイズならではの話は耳にしますが(笑)。検品の徹底は手間もかかりますでしょうに、林社長の信念の強さが窺えます。

林:それだけの手間をかける価値があるという思いですね。30年ほど前にイタリアの家具を初めて目にした時は「こんなに美しいソファがあるのか」と衝撃を受けました。ときめきというか「こういうデザインの家具をずっと扱ってみたかった」と思ったことを覚えています。

ニコレッティのソファ「Zuma」

NICOLETTI ニコレッティ

デザイン大国イタリアを代表する最高ランクのソファメーカー。1967年創業。厳選した素材を使い、国内で企画・生産・品質管理を行ない、本革張りをメインにマイクロファイバーやファブリックのソファも手掛けている。ソファ職人の伝統と技術の継承と、デザインと座り心地の快適さのバランスを追求し続けた結果、世界70か国にファンを持つに至る。(写真のソファ:Zuma)

宮島:それはもう、理屈じゃ説明できないところですよね。現在御社で扱っているイタリア家具はニコレッティとオッジオのみですか。

林:はい。輸入代理店としては家具全種を扱えるようになりたいと思っていて、今もいろいろチャレンジしているところなんですけど、木のアイテムはなかなか難しいですね。

宮島:商品の傷に対する検品に厳しい林社長からすると、木工品は非常に難しいと思います。

林:検品で弾いていったら、出荷できる商品がなくなってしまいそうです(笑)。

宮島:数多あるイタリアの家具メーカーの中で、ニコレッティとオッジオを扱うようになったきっかけは。

イタリアのコモ湖の風景オッジオの工場近くに位置するコモ湖。イタリア有数のリゾート地としても知られる。

林:オッジオを始めたのはニコレッティから約2年後のことです。ミラノから近いコモ湖の辺りにオッジオの工場があり、他メーカーと共同で昇降テーブルをミラノ・サローネに出展していました。自由に上げ下げできるテーブルなんて当時はどこも作っておらず、初めて見た時はビックリしましたね。これは絶対日本でやろうと思いました。その頃のオッジオはまだ本当に小さな会社で、昇降テーブルとともに会社も成長・発展していった感じです。日本に輸入したら予想通り非常に売れて、今ではよそでコピー商品も作られていますけど、コピーができるイコール本物だと認められたとも言えますから。

宮島:まさに先見の明だったわけですね。ニコレッティも一目惚れのようなものだったと先ほど仰っていましたが。

林:そうですね。何度かほかのメーカーに浮気しようと思ったこともあるんですが、やはり好きなんですよね、ニコレッティが。初めて見た時の感動が残っていて、それをまた求めるというか、もう一度そういうデザインと出会えないだろうかと待っているのかもしれません。

宮島:経営やビジネスの世界では、論理的に物事を追及することが求められますけど、市場の創造性にはフィーリングも不可欠ということでしょうか。

林:私はそう思います。販売会でも、私を含め当社のスタッフは、まず商品を見ていただいて「格好いいでしょう、このソファ、このテーブル」のような、お客様の感性に訴えるところから入っていきますね。

OZZIOオッジオ

世界最大規模の家具見本市「ミラノ・サローネ」の開催地ミラノ近郊で誕生した家具メーカー。天然木やスチール、アルミ、ガラス、アクリルなど素材選びにこだわりがあり、使い勝手のよさと遊び心を組み込んだスタイリッシュなデザインが特徴的。ローからダイニングまで高さを無段階で調節できる昇降式テーブルを世界で初めて製品化した。2人から最大12人まで対応できる天板伸長テーブルも開発しており、代表商品として豊富なラインナップを誇る。

20年以上の付き合いを経て輸入販売の総代理店に

ヘヤゴトの宮島社長

宮島:ニコレッティとオッジオの輸入販売の総代理店になるまでにご苦労されたことはございますか。イタリアと日本の企業とでは、考えや姿勢にも異なる点がありそうですが。

林:そうですね。距離的な問題だったり、文化や価値観の違いだったり、相容れない部分もありますね。たとえばニコレッティ、今では日本の総代理店としてお付き合いしていますが、実はエクスクルーシブ契約(=独占契約)は結んでいません。でも「よそにはもう出さない、あなたのところに任せたよ」と言ってもらっています。とはいえ最初の頃は、いろんなところに出していたんですよ。

宮島:ニコレッティ側が、御社以外の日本の販売店にも商品を出していたんですか。

林:はい。先方から「年間200万ユーロ買うならエクスクルーシブ契約結びますよ」と条件を出されて、かなり苦しめられました。それでもういいですと。うちは契約しないからどこででも売ってきてくださいと。そうして出した販売店でちょこちょこは売れるんですけど、やはりうまく行かないんですよね。

宮島:それはなぜですか。

林:小売店さんがニコレッティの商品を安売りしたがったからです。コンテナ1台分仕入れて、安売りして、それで終わり。そのような売り方ではブランド力も下がってしまう。当社は20年以上の付き合いを経てニコレッティと信頼関係を築いてきました。先述の「全部あなたのところに任せるよ」と言ってもらったのが7~8年前です。検品を徹底してクレーム発生を抑えてきたことも、ブランド力の向上という評価、メーカーからの信頼獲得につながった、当社の強みだと思っています。

宮島:なるほど。今のお話を伺って、仕事でも勉強、趣味、人付き合いでも、ひとつのことを継続する難しさや重要性を改めて感じました。今日に至るまで多くの困難や障害があったと思いますが、メーカーから勝ち得た信頼は、御社の努力と継続の賜物なんですね。

宮島:イタリア製ソファと日本製ソファの違いを教えてください。

林:正直、昔ほどの違いはないように思います。日本のソファもどんどんデザインがきれいになっていますし。ただ、イタリア製と日本製どちらのソファを買うか比較したとき、イタリアのサイズ感を重視されるお客様は多いようです。ニコレッティに、日本向けのコンパクトサイズのソファをオーダーしたことがあるんですけど、売れませんでした。「イタリアのソファを買うなら、恰好よくて大きくないと」「コンパクトになったらイタリアらしさが半減してしまう」ということなんでしょうね。

宮島:ではもう少し掘り下げて、ニコレッティとオッジオ製品の魅力についてお話しいただけますか。

横浜高川家具の林社長

林:ニコレッティは革の種類が多いことが大きな特長ですね。全部で120種ほどあります。たとえば茶色とひと口に言っても、濃淡の異なる10色からお選びいただけますよ。

宮島:お客様も選り取り見取りですね。120種もあると決めるのも大変そうです。購入からお届けまでは、お客様がソファを決めて革を選び、イタリアにオーダーを入れる流れですか。

林:お客様のご希望の革とソファの組み合わせで日本に在庫があれば、そちらをお届けします。カラーオーダーが必要な場合はイタリアで作ったものを船便で日本に持ってきます。納期は約5か月です。

林:オッジオはやはりテーブルに備わった昇降・伸張する機能です。天板と脚部の素材が木をはじめガラス、セラミック、メラミン、スチールやアルミと豊富な点もオッジオ製品の特長と言えます。

日本で人気・売れ筋のニコレッティ、オッジオ商品は?

宮島:ニコレッティ、オッジオの人気・売れ筋の商品を教えてください。

林:まずニコレッティですけど、背もたれが後ろに可動する「セレナ」が人気です。一般的なL字のコーナーソファやカウチ、シェーズロングなど、脚を伸ばして座れるのは決まった場所に限られますが、このソファは背を後ろに動かすことで座面が広くなり、好きな場所に座って脚を伸ばせます。3人掛けで値も張りますが、1回の催事で3~4本売れることもありますよ。2019年に発売した「モナリザ」はセレナの新しいバージョンで、同じように背中が後ろに動かせます。

ニコレッティのソファ「セレナ」セレナ
ニコレッティのソファ「モナリザ」モナリザ

宮島:リクライニングとも違う、珍しいですね。ですが、当社の催事でよく売らせていただいているニコレッティのソファといえば、やはり。

林:「サクセス」ですね。色はオレンジが一番人気です。最初は正直そんなに売れないだろうと思っていたんですが、始めてみたら大当たり。よそもみんな真似し始めて、本当によく売れています。

ニコレッティのソファ「サクセス」サクセス

林:オッジオはもちろん昇降テーブルですね。丸テーブルでガラス天板のものが最近の売れ筋です。

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オッジオのテーブル「グローブ」脚の高さを上げてダイニングテーブルとしても使用可能

宮島:人気や売れ筋は置いて、林社長が気に入っているソファ、テーブルはございますか。

林:ソファはやはり「サクセス」ですね。これがよく売れて会社としても本当に助けられたので、思い入れが強いです。 オッジオは「ディアマンテ」(※現在は廃番)という伸長式のテーブルかな。1.8メートルから2.9メートルまで大きくなります。オッジオは固定のテーブルは作りません。小さな会社からスタートして、ほかとの差別化を図るためにも昇降・伸張・回転など動くものしか作らないという理念・ポリシーを持っているんです。

輸入家具の心配「修理・メンテナンス」にも対応

宮島:両メーカーの総代理店として、卸先にどのようなご提案を行なっていこうとお考えですか。

林:分かりやすくてリーズナブルな商品をご提供していきたいですね。分かりやすいとはつまり、商品の魅力が明確で、見た目にインパクトがあるもの。単に価格が安い「チープ」とは違う、品質や魅力に見合う価格の「リーズナブル」。そういったものを得意先様にご提供できれば、その先にいるエンドユーザーに「このソファはウレタンの比重がいくつで~」のような説明をせずとも販売しやすくなると思っています。

宮島:なるほど。ということはニコレッティとオッジオに限らず、林社長のバイヤーとしての目利きで発掘した家具を今後も輸入していかれるということですね。

林:もちろんです。

宮島:新たな人気商品が誕生するのを楽しみにお待ちしたいと思います。個人のお客様、エンドユーザーにお伝えしたいことはございますか。

林:輸入家具の購入を検討する際、保証やアフターフォローについて心配されるユーザー様は多いと思います。実際、オッジオのテーブルのように可動するものは壊れやすいんじゃないかとご相談を受けることもありますが、当社では長く安心してお使いいただけるよう、メンテナンスや修理にも対応しています。20年近く輸入代理を続けて、ほとんどの部品を揃えていますので、そこはご安心ください。

宮島:林社長あるいは横浜高川家具の夢を教えてください。

横浜高川家具のショールーム内横浜ショールームの様子。週末には販売会を開催している。

林:独自のショールームを作ること。南青山、新宿を経て、現在はここ(横浜)で商品を展示していますが、ニコレッティとオッジオをより多くの方に知ってもらう機会を増やしていきたいですね。

宮島:最後に、家具インテリア業界を志す若者に向けてメッセージをお願いします。

林:時代というものは、良い波がくる時もあればその逆もまた然りです。とはいえ、つらい・きついと感じていたことでも気付くと何とか乗り越えているし、案外何とでもなるものです。 家具インテリア業界、いわゆる家・住空間も、時代によって大きく様変わりします。「これが流行って、あれが終わって」という流行と衰退の波をくり返して、その波にたまたま自分たちの事業がはまる時もあれば、はまらない時もある。それでも、多少の盛衰はあっても長い目で見れば、絶対になくならない業界だし、家具インテリアはどんな時代でもなくなることは100パーセントないと思うんですよね。

宮島:同感です。人間の生活3大要素「衣食住」のひとつですからね。日常生活と切り離せるものではありませんから。林社長のニコレッティやオッジオに対する思いに共感してくれるような若者が入ってきてくれたら。

林:イタリア家具のパッション(情熱)を感じ取ってくれたら、それはもう非常に嬉しいですよ。ひとつのことを続けていくと、良い時と悪い時があるかもしれませんが、諦めなければ必ずものになると信じて、ぜひこの業界に飛び込んできていただきたいですね。

林社長と宮島社長の握手

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