軽くて丈夫な曲げ木チェアーはチェコ発祥の代表的アイテム
おとぎの国のような建築物が立ち並ぶ世界都市プラハを首都を持つチェコは、ヨーロッパでも有数の観光地です。タイムスリップしたかのような気分に浸れる、絵に描いたような古き良き中世のヨーロッパの街並みを歩けるプラハは、オーケストラの街としても有名。世界遺産のプラハ歴史地区は1000 年もの歴史的建築様式が混在しており、多くの観光客がひしめき合っています。
家具作りとしては先進的な技術を持っているチェコ
チェコ発祥とされているこの「曲げ木細工」ですが、遡ること1800 年代にオーストリアの家具デザイナーミヒャエル・トーネットによって、軽くて硬いブナの木を蒸気によって柔らかくしてカーブをつけていくという技術が開発され、曲線美が特徴的な木製の椅子が生まれたのが原点と言われています。
今でこそ当たり前のような木工加工の1 つですが、1800 年代当時の木材は「まっすぐな素材」という考えが一般的で、作られる家具は木材を切断し、削って作られるものと考えられていたため、木材を曲げる技術は業界の認識を大きく覆す大発見となりました。
今でもなぜ硬い木材があれほどまでに綺麗に曲げることができるのか?と考えると不思議ではありますが、チェコやオーストリアでは、1800 年代ですでにこうした技術が採用されていたことを考えても、家具作りとしては先進的な技術を持っていると評価できます。
この木を曲げる技術は年代と共に様々に変化し、今では金属に替わる素材としてフランスで活躍した近代建築の巨匠ル・コルビュジェやアメリカにおいて活躍した家具デザイナーのマルセル・ブロイヤーをはじめとする数多くのデザイナーたちに影響を与えたと言われています。独特なアーチを持つ曲線美の椅子は、スタイリッシュというデザイン性もさることながら、軽くて丈夫、そしてリーズナブルという機能面でも優れており、使用頻度の高い飲食店などで多く採用されていることからも分かるように、世界中で愛用されています。チェア以外にも様々な家具でこの曲げ木加工が用いられており、ダイニングテーブルの足やカフェテーブルなど、様々な家具の一部として採用されています。
古くからのこだわり技術を今でも継承しているのがチェコ家具
上述のミヒャエル・トーネットが創始者である家具メーカー・トーネット社は、第一次世界大戦などをきっかけに現在はTON 社と改名いたしましたが、TON 社はトーネットのマインドを100 年以上も継承し、今でも当時の曲げ木技術が受け継がれ、木の質感を生かしたしなやかで流麗な美しいフォルムを大切にした製品作りに取り組んでいます。そんなTON 社とフランスベッドの共同開発によって生まれたのがダイニングファニチャーシリーズ Bentone(ベントーネ)です。現代においても家具メーカーの多くで機械化と効率化が進むなか、今でも多くの工程を手作業にて行っています。チェコ家具の多くは、古くからのこだわりの技術を今でも継承し、機械的な量産家具とは全く異なる風合いや木のぬくもりが感じられるアイテムが多いと言えます。