「F☆☆☆☆(フォースター)」という表示を、家具や建材のカタログで見かけたことはありませんか? これは、ホルムアルデヒドの放散量に関する等級表示であり、健康的な住環境づくりには欠かせない指標です。
この記事では、F☆☆☆☆の意味やメリット、家具選びにおけるチェックポイント、対応家具メーカーの紹介まで、わかりやすく解説します。小さなお子さまや高齢者がいるご家庭、アレルギーや敏感体質の方も必読の内容です。
フォースター(F☆☆☆☆)とは?
ホルムアルデヒド等級とは? F☆〜F☆☆☆☆の意味と違い
家具選びや住宅建材においてよく見かける「F☆☆☆☆(フォースター)」という表示。これは、ホルムアルデヒドの放散量を示すJIS(日本工業規格)・JAS(本農林規格)に基づいた安全等級のことです。
ホルムアルデヒドは、接着剤や塗料などに含まれる揮発性有機化合物(VOC)の一種で、人体に悪影響を及ぼす可能性がある物質として知られています。とくに目や喉の刺激、喘息やアレルギーの原因となる「シックハウス症候群」との関係が指摘されており、家具選びでも注意が必要です。
この安全基準は、星の数で等級が示されており、F☆☆☆☆がもっとも安全性が高い最高ランクです。以下は放散量の基準を一覧にしたものです。
等級 | ホルムアルデヒド放散量 | 室内使用制限 |
---|---|---|
F☆☆☆☆ | 0.3mg/L以下(平均) | 制限なし(最も安全) |
F☆☆☆ | 0.5mg/L以下 | 使用量制限あり |
F☆☆ | 1.5mg/L以下 | 厳しい制限あり |
F☆ | 基準外 | 室内使用不可相当 |
「F☆☆☆☆」は建築基準法により唯一、使用面積に制限がない等級であり、家具やフローリング、建具などあらゆる室内建材に推奨される安全ランクです。
F☆☆☆☆がなぜ重要? シックハウス症候群と健康リスクの回避
シックハウス症候群とは、新築やリフォーム後の住居で起こる頭痛・吐き気・倦怠感・アレルギー反応などの体調不良を総称したものです。その大きな原因とされているのが、ホルムアルデヒドをはじめとしたVOC(揮発性有機化合物)の室内放散です。
厚生労働省や国交省でも「F☆☆☆☆表示の建材や家具」の使用が強く推奨されています。
F☆☆☆☆の家具を選ぶことで、室内の空気環境が安定し、日々の健康リスクを大幅に低減できます。とくに、家具は床や壁と違って部屋にあとから追加されるものだからこそ、後からでも“安心”を選び直すチャンスがあるとも言えるでしょう。
家具選びにおけるF☆☆☆☆のメリット
①健康と安全の確保──F☆☆☆☆は赤ちゃんから高齢者まで安心の基準
F☆☆☆☆等級は、家具に含まれるホルムアルデヒドの放散量が最も少ない(=最も厳しい基準をクリアした)安全等級です。このため、アレルギー体質の方や化学物質に敏感な人に最適な家具選びの指標とされています。
とくに次のような方々にとって、F☆☆☆☆対応の家具を選ぶことは重要です。
- ✔ 赤ちゃん・小児:呼吸器や免疫系が未発達で、揮発性化学物質に敏感
- ✔ 高齢者:長時間室内で過ごす傾向があり、空気質の影響を受けやすい
- ✔ アレルギー体質・化学物質過敏症の方:目のかゆみや喉の痛み、倦怠感などを引き起こしやすい
長時間過ごすリビングや寝室、子ども部屋などの家具は、とくにF☆☆☆☆表示を確認しましょう。
②揮発リスクが最も低く、換気の負担を軽減できる
F☆☆☆☆グレードの家具は、ホルムアルデヒドの放散量が0.3mg/L以下(JIS・JAS基準)とされています。家具から室内に有害物質が広がるリスクが非常に低く抑えられ、次のようなメリットにつながります。
- 1. 頻繁な換気が不要:新築やリフォーム後にありがちな「化学臭」や「目のしみ」を感じにくく、過剰な換気対策が不要に
- 2. 室内空気環境の安定:季節を問わず快適な空気環境を保ちやすい
- 3. 就寝時も安心:特に寝室用家具(ベッド・収納)では、F☆☆☆☆対応が快眠に直結
換気しにくい賃貸住宅や気密性の高いマンションでは、F☆☆☆☆のような「空気を汚しにくい家具」が暮らしの質を守る重要な役割を果たします。
カタログ・ラベルでの見分け方
「F☆☆☆☆」表示のチェックポイント
家具選びでF☆☆☆☆(フォースター)対応かどうかを見極めるには、製品ラベルやカタログ・仕様書に記載されている表示マークをしっかり確認することが重要です。
F☆☆☆☆は、JIS(日本産業規格)またはJAS(日本農林規格)に基づいて認定された材料にのみ付けられる等級表示です。星マーク(☆)が4つ付いている「F☆☆☆☆」の明記があるかどうかをチェックしましょう。引き出しの裏や側面など、家具本体の目立たない部分に貼付された品質表示シールや、製品のスペック記載欄に表示されていることが一般的です。
とくに、以下のようなキーワードが表示に含まれていれば安心です。
- ✔ 「F☆☆☆☆認定資材使用」
- ✔ 「JIS・JAS規格に適合」
- ✔ 「低ホルムアルデヒド仕様」
- ✔ 「F4スター(F☆☆☆☆)」
通販サイトや製品カタログには、塗装・接着剤のF☆☆☆☆対応が記載されていることも多いため、購入前に仕様欄をよく確認しましょう。
「一部だけF☆☆☆☆」に注意! 全体表示ではないケースも
注意したいのは、家具のすべての部材がF☆☆☆☆対応とは限らないという点です。とくに、「F☆☆☆☆相当」「一部F☆☆☆☆対応」などの記載がある場合は、構造材や化粧板の一部のみが対応していて、その他の部分は等級未満の材料が使われている可能性があることを示しています。
- ・天板のみF☆☆☆☆、フレームはF☆☆または無等級
- ・本体はF☆☆☆☆でも、接着剤や塗装が対象外
- ・カタログに「F☆☆☆☆使用」とあるが、実際は「一部使用」だった
このような表示がある家具は、ホルムアルデヒドが放散されるリスクがゼロとは言えません。
安全性を重視するのであれば、「主要構造部すべてがF☆☆☆☆対応か」を確認するのがベストです。とくに赤ちゃんのいる家庭や、寝室など長時間使用する場所に設置する家具では、この点をしっかりチェックしておきましょう。
F☆☆☆☆でも注意したいポイント
放散ゼロではない──温度・湿度の影響と換気の重要性
「F☆☆☆☆」は、ホルムアルデヒドの放散量がもっとも少ないことを示す最上位ランクの安全基準ですが、“ゼロ放散”を意味するものではありません。あくまで「JIS(日本産業規格)」「JAS(日本農林規格)」が定める基準値以下の放散量(0.3mg/L以下)であることを保証しているに過ぎません。
また、ホルムアルデヒドの放散量は、気温や湿度に応じて変動することが知られています。とくに高温多湿の時期や、エアコンや暖房で部屋が高温になると、家具や建材からの放散量が一時的に増える可能性があります。
そのため、F☆☆☆☆対応家具を使っていても、併せて次の対策の実行をおすすめします。
- 1. 定期的な換気(とくに新築・改装直後)
- 2. 24時間換気設備の活用
- 3. 設置してすぐの新品の家具は、風通しの良い場所で“慣らし期間”を設ける
F☆☆☆☆表示があるからといって絶対に無害というわけではないことを理解し、「換気を前提とした使い方」を意識しましょう。
無垢材など“表示対象外”の素材も、安心材料として有効
F☆☆☆☆は接着剤や合板、塗料など化学物質を含む加工材料を対象にした等級であり、自然素材そのもの(無垢材や竹、籐など)は等級表示の対象外となっています。これは「等級が取得されていないから危険」という意味ではなく、そもそもホルムアルデヒドを含まない、または放散リスクが極めて低い素材であるためです。
たとえば:
- ・無垢材のテーブルや椅子
- ・オイル仕上げの天然木家具
- ・釘やダボのみで構成された接着剤不使用の家具
こうした製品は「F☆☆☆☆相当」として扱われることもありますが、正式な表示義務がないため見落とされがちです。実際には、“表示対象外”であっても十分に安心できる選択肢となることが多いため、素材の種類や仕上げ方法を製品仕様で確認してみてください。
F☆☆☆☆対応の国産家具メーカー4選

ホルムアルデヒド放散基準「F☆☆☆☆」対応に取り組む代表的な国産家具メーカー4社をご紹介します。
1. カリモク家具
合板、パーティクルボード、MDF、接着剤、塗料など、家具のあらゆる部分にF☆☆☆☆資材を使用(一部商品を除く)しており、住宅品質確保促進法に定められた等級3をクリア。国の基準を満たすだけでなく、さらに一歩進んだ“安心”を提供しています。
さらに、人体に有害とされるトルエン・キシレン・エチルベンゼンを含まない塗料を全商品に使用。小さなお子さまやアレルギー体質の方がいるご家庭でも、安心して使用できるよう配慮されています。
2. 飛騨産業
飛騨産業では、家具に使用する合板、MDF、パーティクルボード、接着剤、塗料すべてにF☆☆☆☆等級の材料を採用しています(一部商品を除く)。
また、飛騨産業は、地域ブランド「飛騨の家具」の認証企業でもあります。この認定は、品質・安全性・環境配慮・地域貢献の観点から厳しい基準を満たす企業にのみ与えられるもので、F☆☆☆☆対応の安心設計もその一環といえます。
製品に10年保証をつけ、長期使用を前提とした品質設計とアフターサポートにも力を入れています。
3. 浜本工芸
浜本工芸では、F☆☆☆☆ランク認定の合板、パーティクルボード、MDF、接着剤、塗料などを採用。ホルムアルデヒドの発散量を規制した家具であることを示す「人にやさしい家具マーク」が全製品に貼られており、安心の品質を確かに伝えています。
さらに浜本工芸では300以上の検査項目にわたる厳格な品質検査を実施し、入荷から最終出荷まで品質チェックを重ねています。その上で、5年間の品質保証を付帯し、安全な家具を長年使えるサポート体制も充実させています。
4. 小島工芸
小島工芸は、家具づくりにおいて人体への安全性を最優先しており、製品に使用する合板、接着剤、塗料など、すべての資材にF☆☆☆☆相当のもののみを採用しています(一部製品を除く)。
さらに、子ども部屋での製品使用を想定し、4.5畳サイズの試験室を用いた化学物質の放散試験も実施。測定結果では、ホルムアルデヒドの放散量がわずか0.001ppmと、世界保健機関(WHO)が示す安全基準を大きくクリアした高い安全性が確認されました。
国産家具表示の認定事業者としての信頼も確立しており、安心・安全・環境配慮の3点において厳格な基準をクリアしています。
本当に安心できる家具の選び方
F☆☆☆☆対応の家具は「表示の確認」が第一歩
家具を選ぶ際には、まずホルムアルデヒドの放散量が最も少ないF☆☆☆☆の表示があるかを確認しましょう。カタログや商品ラベル、製品タグなどにF☆☆☆☆の記載があるかどうかチェックすることで、シックハウス症候群などのリスクを最小限に抑えられる家具選びが可能になります。
とくに、小さなお子さまや高齢者、アレルギー体質の方がいる家庭では、F☆☆☆☆マークは“安心のしるし”です。すべての部材にF☆☆☆☆相当の材料を使っているかどうか、メーカーの公式サイトを見てみるのも効果的です。
換気・温湿度管理など「室内環境を守る応急対策」も忘れずに
F☆☆☆☆の家具であっても、ホルムアルデヒドなどの化学物質の放散がゼロになるわけではありません。とくに気温や湿度が高い季節は、素材からの揮発が促進されることもあるため、室内のこまめな換気や湿度調整を行ないましょう。
新築やリフォーム直後などは、家具の素材に限らず内装材の影響も受けやすいため、空気清浄機の活用や植物の設置など、シックハウス対策につながる工夫を併せて行なってください。
健康・快眠につながる「家族に優しい家具選び」を
見た目やデザインだけでなく、安全性・快適性・耐久性といった“見えない価値”に目を向けることが、家具選びの質を大きく左右します。F☆☆☆☆のような信頼できる基準をチェックすることは、自分や家族の健康を守る第一歩。
とくに寝室や子ども部屋、長時間過ごすリビングなどでは、「安心して触れられる家具」「空気環境に配慮された家具」が真の意味で“やさしい家具”といえるでしょう。