オアシスの街ナイン[Nain]で作られる伝統的なペルシャ絨毯
イラン中央部に位置する小さなオアシス都市ナインは、イスラム初期のモスクや素晴らしいメフラーブ、14世紀のミンバル(説教壇)を有するマスジュデ・ジャーメ(金曜寺院)でも有名な都市です。
昔は上質なウールの布の産地として有名でしたが、機械織り製品の氾濫とともにウール産業も衰退し、その工房が絨毯産業へと転換をはかったのが1920年代のことです。やがて、その品質が西欧で高い評価を受けるようになって、ナインは世界に知られる絨毯産地となりました。落ち着いた色調、白い絹でモチ ーフの輪郭をとって文様を浮かび上がらせる手法などがその特徴となっています。
ナインで生産されるペルシャ絨毯の多くは、オーソドックスなメダリオン・デザインが大半となります。これは、ナイルにおいてペルシャ絨毯製造が根付いた当時、イスファハーンの職人の指導を受けたことが背景にあるようで、また地理的にもイスファハーンに近いこともあり、イスファハーンの伝統的なデザインの影響をおおいに受けたとされています。
ナイン産のペルシャ絨毯デザイン紹介
ドーム・デザイン(ゴンバディー)Dome design
ドーム(ペルシャ語ではゴンバド)とは丸屋根。
美しい装飾タイルで飾られたモスクの天井を下から見上げた構図となっているため、このように呼ばれます。
メダリオンから放射状に網目のような文様が広がっていく様子が、遠近法を用いて表現され、独特の意匠となっています。モスクがテーマになっていることからモスク・デザインと呼ばれることもあります。