伝統工芸の街とふさわしい高い技術を持った生産拠点
コーカサス山系の南、標高1,360mの高原にタブリーズの街はあります。夏は涼しいけれど、冬は寒く、厚い雪に覆われてしまいます。この地は、いろんな意味でもっともヨーロッパ世界に近かったと言えるでし ょう。古くから東西交通の重要な位置にあったため、その歴史はサーサーン朝時代に始まり、3世紀にはアゼルバイジャン、14世紀にはイル・ハーン国の首都ともなりました。19世紀にはイランの商業の中心地として、タブリーズ商品の絨毯産業復興における活躍ぶりは目をみはるものがありました。ヨーロッパ市場を見据えたその絨毯づくりは、幅広いデザイン開発にも繋がりました。
タブリーズで製造されるペルシャ絨毯は、トルコとのつながりもあり、早い段階から新たなデザインを取り入れるべく様々なチャレンジを行ってきました。そうした努力が奏功し、今ではペルシャ絨毯の 5 大産地の中でも安定した製造・供給を行っている中心的な街として機能しています。
タブリーズ産のペルシャ絨毯デザイン紹介
ヘラーティー・デザイン(リーズ・マーヒー)Herati design
カンサス(ハアザミ)の葉が様式化され、菱形に組み合わさってできる花文のモチーフは、ペルシャのヘラート(現アフガニスタン)に起源があると考えられてきたことからヘラーティー(ヘラティー)と呼ばれています。
また、この葉の形が魚に似ることによりマーヒー(ペルシア語で魚)と呼ばれることもあり、この絨毯のように小さなヘラーティー・パターンで構成されたデザインは、リーズ・マーヒー(小さな魚)と呼ばれます。デザインの特徴は、全体的に落ち着いた色彩のアンティーク様式である点が挙げられます。
主な産地はタブリーズやビルジャンド地方で、パネル・デザインの絨毯なども積極的に生産されています。