ケルマン・ラバー村は小さいながらも絶大な人気!
南ペルシャの高原都市ケルマンは、3世紀サーサーン朝の創始者アルダシール一世によって建設され、サファビー朝当時、王室工房も設けられていたというペルシャ絨毯の伝統的産地のひとつです。
ショールの産地でもあったケルマンは 19 世紀その衰退を期に絨毯産業への転換がなされ、本格的な絨毯生産が始まります。ケルマンのデザインは大きく2つの様式に分けることが出来ます。ひとつは伝統柄で、主に花柄を描出したメダリオン文などのペルシャ・デザイン、もうひとつはアメリカンとよばれる無地フィールドに花文メダリオンを配したアメリカ市場向けのデザインです。
特にケルマン地方の小さな村ラバー村で生産されるペルシャ絨毯は、イスファハーンなどの伝統を重んじる地域と地理的にもあまり大きな影響を受けなかったものの、メダリオン・デザインを中心とした独特のフラワー柄が諸外国に人気となったことで、生産拠点としての知名度が上がりました。
ケルマン産のペルシャ絨毯デザイン紹介
メダリオン・コーナー・プレーン・デザイン Medallion-corner plain design
19世紀末から20世紀初頭にかけての絨毯復興期はヨーロ ッパ市場を対象としたものですが、やがて第1次世界大戦がはじまるとヨーロッパは戦火にみまわれアメリカ市場が中心になってきます。
このアメリカ市場向けの一般品がサールークやケルマンで数多くつくられるようになります。フィールドが無地で花柄を中心としたメダリオン柄がその特徴となっています。