ペルシャ絨毯の代名詞イスファハーン[Isfahan, Esfahan]
イラン中央部、ザーグロス山脈の東麓に位置するイスファハーンは、古い伝統を誇る都市で、その歴史は紀元前6世紀にさかのぼります。11世紀、大セルジューク朝の首都となり、16世紀末にサファヴィー朝ペルシャのシャー・アッバース一斉がこの街に都を遷すにおよんで、イスファハーンはイスラム世界でもっとも美しい街といわれるようになりました。
この当時作られた華麗なモスクや建造物が、いまも街のいたるところに見受けられます。かつて宮廷専用の絨毯工房もこの一角にあったといわれ、絨毯づくりの技術の高さとその誇りが、今日にまで受け継がれています。イスファハーンは最も伝統を重視すると言われており、ペルシャ絨毯での伝統的デザインであるメダリオン・デザインを中心に、高品質な製品を作り続けています。
イスファハーン産のペルシャ絨毯デザイン紹介
メダリオン・コーナー・デザイン(ヘクマトネジャド)Medallion-corner design
ペルシャ絨毯のもっとも典型的な意匠がこのメダリオン・コーナー・デザイン、ペルシャ後でいうラチャク・トランジです。クルアーン(コーラン)や写本の装丁に由来するとともに、宇宙をシンボライズした意匠とも、さまざまな解釈がなされます。中央にメダル様の大きなメダリオンがあり、各コーナーにメダリオンの4分の1のパターンが配されているのが基本形です。
ピクトリアル・デザイン(タスヴィーリー)Pictorial design
絵画調のデザインを持つ絨毯です。カリグラフィーを扱 ったり、様式化、抽象化されることの多いイスラム的装飾に対して、ペルシャには写本の挿し絵などの細密画(ミニアチュール)の伝統があります。
狩猟図や饗宴図など、古くから絨毯にミニアチュールを再現してきたその技術は、近年、西洋絵画の風景や動物、静物なども絨毯に仕上げるようになってきました。