ペルシャ絨毯デザイン集、今回ご紹介するデザインは、デザイン中央にメダリオンを配置しいないシャープな印象のストライプ・デザインと、水路や緑の庭園をモチーフにしたパネル・デザインを取り上げます。いずれもメダリオンを中央に配置せず、絵画の額縁のようなメインボーダーと呼ばれるまわりにメダリオンが配置され、いかにもペルシャ絨毯という雰囲気こそないものの、その存在感は損なわれていません。ストライプ・デザインは、ただ単に直線的なラインが入っているだけでなく、何パターンもの太さの異なる糸をつかって、より複雑なデザインの文様が施されているのが特徴。
パネル・デザインにおいても、いかにもオシャレでリビングとのマッチングが良さそうなデザインですが、そのデザインが意味するものの深さや 6 世紀ころに誕生したデザインという歴史を考慮すると、単にオシャレですとかアンティークなどのインテリア用語でまとめられるようなものではないでしょう。
ストライプ・デザイン(モハッラマート)の特徴と魅力
シャープで直線的なデザインが特徴のストライプ・デザイン。英語でストライプ、ペルシャ語でモハッラマートとは、縞を意味し、フィールドにたて縞が反復されるデザインです。
もともと平織りのたて糸の色が変えられた織り柄パターンから生まれた意匠なのでしょうが、中間に様々なモチーフを配したりストライプのパターンをアレンジしたりして、徐々に精緻さを増し、絨毯のデザインとしても発達してきました。
ご覧のとおり中央にメダリオンを配置しいない定番のフレームタイプで、四隅にメダリオンを配置しているデザインも多数あります。ダイニングテーブルとのマッチングも良さそうです。
パネル・デザイン(ヘシュティー)の特徴と魅力
庭園文が様式化されてできたといわれるデザインです。
もともとは水路で区切られた庭園描写が、時とともに細かい区画に分けられるようになり、やがて格子の中には様式化されたいろんな植物文がはめ込まれるようになったもので、英語ではパネル・デザイン、ペルシャ語ではヘシュティー(ヘシュトは日干しレンガの意)と呼ばれるデザインです。
こうした水路や緑の庭園をモチーフにする発想自体が評価に値し、過去に生み出されたパネル・デザイン絨毯の代表作の多くは、四季をテーマに製作されたデザインだっとのことです。