ペルシャ絨毯の中でもっともスタンダードで認知度が高いデザインがメダリオン・デザインです。
メダリオンとは、ペルシャ絨毯での模様を指し、中心部に大きな模様が描かれているのが特徴。最も基本的なデザインパターンがメダリオン・コーナーデザインで、中心のメダリオンに加え、絨毯の四隅に同様の模様を施したタイプを指し、いかにもペルシャ絨毯らしい伝統的なデザインです。まるで、万華鏡の中を覗いているかのような、この伝統的なパターンとなるメダリオンは「ラチャクトランジェ」と呼ばれ、四隅に模様がない柄は、単にメダリオン・デザインと言ったり「トランジェ」と呼ばれています。日本国内でも多く流通しているのが、このメダリオン・デザインです。
メダリオン・デザイン(ヌーリー工房)
コーナーにメダリオンの派生柄をもたないメダリオン絨毯は、単にメダリオン・デザインと呼ばれることがあります。
ちょうど総柄デザイン(アフシャーン)絨毯の中央にメダリオンのみを配したデザインです。このほか、遊牧民がつくる幾何学文の絨毯ではメダリオンがいくつか並んだようなポール・メダリオンと呼ばれるタイプのものも見られます。
メダリオン・コーナー・デザイン(ヘクマトネジャド)
ペルシャ絨毯のもっとも典型的な意匠がこのメダリオン・コーナー・デザイン、ペルシャ後でいうラチャク・トランジです。
クルアーン(コーラン)や写本の装丁に由来するとともに、宇宙をシンボライズした意匠とも、さまざまな解釈がなされます。中央にメダル様の大きなメダリオンがあり、各コーナーにメダリオンの4分の1のパターンが配されているのが基本形です。
メダリオン・コーナー・プレーン・デザイン
19世紀末から20世紀初頭にかけての絨毯復興期はヨーロッパ市場を対象としたものですが、やがて第1次世界大戦がはじまるとヨーロッパは戦火にみまわれアメリカ市場が中心になってきます。
このアメリカ市場向けの一般品がサールークやケルマーンで数多くつくられるようになります。フィールドが無地で花柄を中心としたメダリオン柄がその特徴となっています